interview_maeda

Azusa Maeda
マエダ アヅサ(shopmaker)さん WSOPE(World Series of Poker
Europe)で準優勝し、賞金$178,299(約1,750万)獲得した 日本を
代表するポーカープレイヤー。 国内のアミューズメントイベント
にも積極的に参加しており、中でもJPT(JapanPokerTour)イベント
は 特に気に入っている。 2013年は海外トーナメントに参加する
機会が激減していますが、日本人賞金ランキング10位
(2016/10/29現在)

主な戦績

2012年 APPT - Cebu,P27,000 NLH - Bounty 優勝 $10,554

2012年 Aussie Millions A$ 2,500 NLH- 6-Max 10位 $10,501

2011年 WSOPE Cannes 2,500 6-Max NLH 準優勝 $178,299

2011年 Asian Poker King Tournament NLH 5位 $59,600

日本人賞金ランキング10位(2016/10/29現在)

※WSOPE World Series of Poker Europe ※MPC Macau Poker Cup













World Series of Poker Europe event#1 6-Max NLHで準優勝したマエダ アヅサさんに 海外トーナメントについてとポーカーは確率のみではなく、感性の大切さを説いていただきました。

 

-- ユーロ圏に挑戦したきっかけ --
私は仕事の繁忙期がWSOPの時期と重なっていてラスベガスへは行けません。 しかしながら、9月〜10月に開催されるWSOPEなら行くことができましたし、たまたまTPT(TokyoPokerTour)のトーナメントで好成績を残せ、サポートを受けられることになったので、挑戦することにしました。 また、それと同時期にアキバギルドのMPC(Macau Poker Cup)公式予選で優勝しMPCメインイベントのフルパッケージを獲得したので、マカオへも行かなければなりませんでした。 それゆえ当初はWSOPEのメインイベントに参加する予定でしたが、マカオの予定も入ってしまったので、 予定を変更してイベント1の6AMXに出る事にしました。ところが、それが結果的に功を奏した形となりました。

 

-- トーナメントの流れ --
周りがプロだらけのようでしたし、、彼らからしてみれば、見た事も無い無愛想な東洋人が見よう見まねでベットしている、程度にしか思われていなかったでしょう。なので、気を付けた点としては、まず認めてもらうこと。 バカにされてしまうと虐められてしまうので、まずスキルを見せつけてやらないと攻撃は止まらないと思っていました。 その為、最初にポットを獲ったハンドはAJで、トリプルバレルをリバーもAハイでコールし、カードを開けさせました。 その後の序盤は、3WayのシーンでミドルヒットのTでリバーをコールしてポットを獲るなどして、スタックを築くことができ、着実に順位を伸ばすことが出来ました。 中盤のターニングポイントは8万点くらい持っていた時に前ハンドでダブルアップしたプレイヤーがミドルポジションからレイズインして来ました。 私はBBでT7でコール。ボードがハート2枚でトップヒットしました。フロップでリードベットを打つと相手から 4万2,000くらいのポットに16万弱のオールインが飛んできました。それをTヒットオンリーでコールするか悩んだ。 そのプレイヤーは今までフロップでオールインをして来なかったし、トップペアやオーバーペアの場面ではレイズをしていた事、また前局でダブルアップしたので、そのスタックを活かしたプレイをしたい心情から、この局面でのオールインはフラッシュドロー若しくはミドルペアのセミブラフとしか思えません。 休憩時間も使いながら、5分間も考えてようやくコールしたのです。 相手はKh3hで1オーバーフラッシュドローで、そのまま抜け切りダブルアップすることが出来ました。 セミファイナルにPhil Hellmuthがいましたが、周りから強い奴から潰そうって暗黙の同盟みたいのを組まれて 彼は攻撃されていました。Phil Hellmuthはポイント争いをしていて、どうしてもファイナルに残りたかった様で スタックはかなりショートでした。そんな中、周りに3ベット、4ベット入れられてバストします。 ファイナルテーブルで私のスタックは真ん中くらい(3位か4位)で、アクションを多めにし、オープンレイザーを潰して 1つ1つ階段を昇る様に順位を伸ばしました。 彼らのスタックを1/3〜1/4くらいまで削ってからオールインにコールで3人バストさせることに成功し、。 チップリーダーになってからは楽にヘッズアップまで残ったのですが、ヘッズになってから少し気が緩みましたね。 相手は若いスイス人のプレイヤーでセミファイナル時の別テーブルのチップリーダーでした。 ファイナルテーブルではすごくタイトで我慢しており、私は彼にタイトなイメージしか持っていなかったので、 ヘッズアップでは押して行けば勝てる相手だと思っていましたが、豹変したかのようにアグレッサーに変わり、面喰らってしまいました。 最後のハンドは、私は光った4d3dでリンプインし、レイズを誘いましたが、相手はチェックでした。 フロップ:9c7d6d 相手チェックに対し私は絡みの薄さに疑問を持ちました。この疑問が結果的にこのハンドは相手を降ろして、次に行こうという短絡的な判断をさせたと思います。全スタックを入れました。 ところが驚く事に相手はクイックコールしたのです。 ターン:4h リバー:4s もともとボードマッチを感じていましたから、このターンとリバーは、ああそうゆう事か、と思ったのを覚えています。 集中力が高まっている状態ってハンドが噛む噛まないが分かる時ありますよね。 結果的にトリップスを完成させるのですが、相手のハンドは5c8hでフロップでストレートでした。 ヘッズアップ開始時、私は相手の倍近くスタックを持っていましたが、残念ながら準優勝という結果に至りました。 それでもトーナメント期間中を通してZONE(最高の心理状態 ゾーン)に入った状態でポーカーが出来たことに 充実感を覚えたWSOPEでした。

 

-- ユーロ圏とマカオの傾向の違い。それらをどのようにして適応したのか。 --
対応するのは得意で好きな分野なのですが、ユーロはテクニカルな対応がしやすかったです。 よく「技術が上の相手にはオールインで対抗しろ」みたいに言われます。受ける側も粗いものに対してそれなりに対応することは出来ますが、やはりどうしてもアジア圏のトーナメントは事故率(博打性)が高くなるように思います。 ユーロの場合は、ポットコントロールを重要視していてポットを膨らまさないイメージがありました。 結果、事故率が低く博打をする場面の少ないトーナメントでした。 そういった意味で私はユーロの方がプレイしやすかったですね。 そしてオーストラリアはアジアとユーロの中間の様な環境だったと思います。

 

-- 6MAXが好きですか --
ショートハンドは好きですね。アクションが多いので考えることも多いし、リスクの取り方も難しい。 攻守のハンドレンジが広がり、同時にアクションに対し想定考慮すべきポイントも多くなる。待っている時間が少ないので 気が抜けない状態が続き、モチベーションを保っていられるゲームの方が得意です。




-- 2012年にAPPT Cebuで初タイトル --
もともとポーカーが好きなのであってお金を稼ぐことや優勝する事は自分にとっての最重要項目ではありません。 カンヌの時は、さすがに目の前にブレスレットを置かれたら、欲しいなって欲が出て負けちゃいましたけどね(笑) ポーカーを集中してプレイし、自分の思考と全精力を傾けている時間が好きなんです。 もちろん勝つことは嬉しいことだけど、それを目指して参加している訳ではありません。

 

-- ポーカーを長く楽しんだ結果の優勝ですか --
楽しいという気持ちとも少し違って、没頭することが好きなのです。 モチベーションを保って神経を研ぎ澄まし、注意を凝らして入り込むことで、色や数字の偏り感じ、ボードが開く前に出るカードのビジョンが見え、数ハンド後にどんなハンドが入るか感じれたり、対戦相手のそれぞれの運の量の増減や、感情推移が脳に直結した感覚を得れたり、そういった境地に辿り着き、それを維持してゆく感覚が好きです。 私は「ハンドが光る」なんてことをしばしば言うのですが、実際にあるんです。 2枚のホールカードが配られますよね。集中しているとヒットするカードやフロップの絡みまで見えてくる時があります。 光って見えると言うと語弊があるかも知れないけど、感じたものや事が視覚化されカード自体が綺麗に美しく見えるのです。 そういった感性とポーカーの正しいロジックを織り交ぜてプレイしてますね。 私の職業は店舗のデザイナーなのですが、ポーカーに通じる部分が多々有ります。 仕事ではその日初めて会った人が、何が欲しいと考えているのか、何処を善し悪しのラインとしているのか、などの「相手の思考と常識を読んで」絵や図面に起こしたりしています。 ポーカーテーブルに座っている時は、自分以外のプレイヤーが、何を重んじてプレイしているか、今自分に対してどのように考えているか、を感情の起伏の度合いや、現在の運量、行動にかけた時間、動きや言葉の違和感、などから読み取って自分の行動を決定します。

 

-- JPTオンラインイベントのメインイベントで優勝してますが普段からオンラインをプレイしてますか --
そんなにはやらないし、オンラインではあまり勝ってる気はしませんね。 私が培った経験はあくまでテーブル上のポーカーなので、その経験は画面の中では発揮し辛く思います。 確かに知識やロジックは知っているので、勝てることもあります。 今回のオンラインイベントは全員が日本人で他のプレイヤーはハンドルネームを見て私だと認識してた人もいるでしょうし、 ある程度、私も知っている名前が相手だったので動き易かったです。 しかし、それは一般的に語られるオンラインポーカーではなく、あくまでもJPTなんだと思います。 だから私も勝てただけではないでしょうか。

 

-- オンラインもプレイされているイメージがありました。 --
JPTのオンラインサテライトStage3はよく参加しています。仕事が終わるのが遅いので 土曜の遅い時間に開催しているのはありがたいし、いつも楽しみにしています。

 

-- JPTイベントにも精力的に参加されてますね --
そうですね。JPTはすごく良いイベントだと思います。 今までのどのポーカー団体も出来なかったことをやっているし、プレイヤーの目線に立った大会にしていますね。 私は店舗や営利目的としての目線ではなく、ずっとプレイヤーでありたくて、プレイヤーのコミュニティを広げて、 自分が歳を取っても相手をしてくれる強い若手が沢山欲しいと思ってきたので、そういった意味でもJPTの趣向は共感を持てるので好きです。 間口を広げているので様々なプレイヤーが参加できますが、軽い大会にはして欲しくないですね。 参加することがプレイヤーにとって価値のある物であって欲しいし、ファイナルテーブルに残るだけでもステイタスになるような 格式の高いトーナメントにして頂きたい。 見栄えが良く、ゲーム性が豊かで、時間も使える、それこそ日本一のトーナメントを目指して欲しいですね。



-- 国内の様々なポーカースポットでプレイされていますね --
7年前に海外でポーカーを覚えて、日本でポーカーができる場所は無いのだと思っていました。 それでもポーカーがしたくて、ポーカーが出来る飲食店を自分で出したこともありました。 店が完成してから、日本でもポーカーが出来る場所が沢山あるって知るのですけどね。 そんな日本のポーカー事情を知らない私の店には、ポーカーを知らないお客さんしか来なかったので、 逆にポーカー知っている人がたまたま来ると、レベルが低いからつまんないって、帰ってしまう。 では、他のスポットを見に行こうと思いJPL(JapanPokerLeague)、JUP(JAPAN UNITED POKER)、JSPL(JAPAN SPORTS POKER LEAGE)、アキバギルドと色んな場所を見て回って気付いたことが、 場所や団体でポーカーが違う。ベットの額やアクションの取り方が全然違う。しかもルールまで違ったのです。 1つの団体で強くなってもそこの団体でしか通用しない。ましてや同じ人とばかり対戦していると 海外で知らないプレイヤーと対戦した場合、対応できない。そう思い、私は毎日色んなスポットへ行こうと思ったのです。 そうすることで仲間が増えたし、ポーカーも上達できた。 上達したと言ってもAのスポットのトレンドをBのスポットで実践するとすぐ勝てました。 今度はBのトレンドをAに持っていくとまた勝てる(笑) AのトレンドをAでやっても勝ったり負けたり、逆も然り。 結果的に外(海外)に出た時、知らないプレイヤー相手でもそこそこ勝てるようになりました。

 

-- アミューズメントのどんな時が楽しいですか --
若いプレイヤーが突っかかって来た時(笑) よくポットをコントロールするという言葉を耳にしますが、加えて相手もコントロールするのが好きですね。 コツはテーブルの穴(ウィーク)を見つけること。これは並び順とスタイルで変わってきます。 考えを直接もあれば間接的にも促し操作して、相手のアクションとスタイルを変更させ、まず、そこを攻める。そこが脱落したら、また次の変化した穴を探して攻める。 自分の想定通りのベットを置いてもらい、思惑通りのことを考えてもらう。ハンドとボードの進行と同時に自分と相手の思考ストーリーも作って先に置いておく。完全に思惑通りになった時は、やはり気分良いですね。

 

-- マエダさんの勝負勘とは --
ポーカーのロジックを理解した上で、感性を大切にしています。 トーナメントにおいて難しい判断に迫られるシーンってありますよね。 そんな時は自分の感覚を大切にしていますし、その感覚があるかないかが結果に響いています。 ハンドが光るという感覚は光るはずがないと言う人には一生、理解できないでしょう。 例えば、「幽霊を信じるか?」信じないと言う人には見えないのと同じです。知らない漢字はやはりどうやっても書けません。 人間には色んな能力があるわけで、自分の中で制限をかけずに、そういった可能性もあると信じてもらいたいですね。 神経を研ぎ澄まし、観察することで人の心の動きも感じるようになるし、いつもと違う違和感を察知することができます。 ポーカーにおいて、確率通りに正しい判断だけを徹底した場合って勝ちが平均化するだけで、突き抜けることは稀です。

-- 世界を知るマエダさんから日本人プレイヤーにアドバイス --
保身を忘れ、自己犠牲の精神で望むこと、そして楽しむことですね。 楽しむことにより、集中力が持続します。なぜティルトしてしまうかと言うと楽しくないからですよね。 精神修行が足りないと保身に走ってしまいます。 ポーカーはリスクバランスのゲームだから、リスクを取らないでは勝てませんよね。 一度、勝ちを掴んだら何度も反復して、その勝ちのストーリーを忘れない事です。 楽しみ方は人それぞれで、私の場合は次のハンドやボードを読むことが楽しいし、談笑しながらポーカーすることが 楽しい人もいらっしゃいます。楽しみ方を見つけてしまうと相手によって、自分の精神が影響されることがなくなります。 勝つことだけを楽しみにしないことです。ポーカーというゲームそのものを楽しむことです。 少ないアウツを引かれて負けることもあります。それがポーカーだし、そんな状況も理解し、楽しむことです。 日本人はポーカーが強いと思いますし、向いていると思います。ただ少しだけ心が弱い。 国内でプレイしてるままもっと図太く同じように楽しんでプレイすることです。 

 

-- 最後に一言 --
ピカリ道一筋 by shopmaker」

 

インタビュー:カツマPokerJapan

 

World Poker Tour