アライさんインタビュー

Japan Open Poker Tour 2023 Grand Final

Event #41 NLH Poker Players Championship Winner

アライ 選手

まずは、PPC優勝おめでとうございます!優勝された時のお気持ちについて教えてください。

 「やっと終わった・・・」というのが本音ですかね。ヘッズアップが 2 時間以上とかなり長丁場で、かつ最後の 4-50分はオールイン勝負に複数回なりながらもなかなか勝負が決しないという状況だったので。
ただ、その日は返信できなかったんですが、いろんな方々から Twitter や LINE でおめでとうというお祝いのメッセージが来ているのを見て、翌日になって、「嬉しいな」という気持ちが湧いてきました。

大人数が参加される中の優勝でしたが、トーナメント中に意識していたことなどありますか?

 Day1 の中盤ごろまでは、飛んだら仲間内でのみにいこうかなぁくらいの感覚でゆるく手なりでプレイしていました(笑)その後、Day1 終盤付近で Day2 いけるな、とは感じはじめましたね。
 自分は、かなり達観していて、テーブルのなかで必ず自分より 1 - 2 人はうまい人がいるというのは当然だと思っているんです。
なので、プレイヤーをよく観察して、自分より上手な人とはできるだけぶつからないようにします。例えば、普段は 3 bet するようなハンドでも、上手な人がオープンしている状況で自分にポジションがなければ、コールしてポットをあまり膨らませないようにしようかなとか。
一方で、この相手だったら、チップをとりやすいかなと思う人もいます。プレイに歪さがあるような人なんですが、そういう相手に対して的を絞って、こういうプレイを自分がすればこういう風にアクションしてくるかな、といったことを考えています。運もよかったのですが、Day1 終盤はそういったことが上手く行って、チップを増やすことができました。
 Day2 は、自分は当時インマネラインやプライズを実はまったく把握しておらず、気づいたらインマネしていて、残り 20 名ほどのところで 4 bb くらいになっていました。その段階では、少しでも粘って生き残ることを考えていました。その後、運良くチップが増えてまた人並みのチップ量になったところで、Day1 終盤と同じようにどこからチップを奪えそうかを意識してプレイするようにしていました。

相手をしっかりと観察して、プレイヤーに応じてプレイを変えられるのが強みとお見受けしましたが、どのような点を主に見てプレイヤーの強さを判断されていますか?

 一番見るのは、プリフロップですね。プリフロップのレンジがちゃんとしているかどうか。あとは、フロップ以降のベット額も見ます。オンラインで強い人の配信動画を観るのが好きなんですが、そういった強い人たちのプレイラインに似ているかどうか、というのを一つの判断基準にしています。
自分がやりたいけど、できないプレイで、でもオンラインで強い人たちがやっているのをよく見るな、という感じのプレイをする方を見ると、「強そうだな」と思います。

PPCのトーナメントのなかで、具体的に、印象に残っているプレイがあれば教えてください。

 まずは、先ほどお話しした 4bb くらいのショートスタックになったときですかね。
自分は、日本でも海外でも、ショートでオールインしたときには、恥も外聞もなく「降りてくれ」と言うようにしているんですよ。強いハンドなら何言われようが降りないと思うので、「悩むくらいなら降りて」と(笑)
今回も、それで皆さん 2 回くらい降りてくれたんですが、3 回目で即オールインをかぶせられました。相手の方は AK で、自分は J9 だったんですが、 J が落ちて運良く勝つことができました。
 あと、「今日俺優勝するな」と思ったハンドがありました。ファイナルテーブルでチップリーダーの方とぶつかったハンドでした。ファイナルテーブルがかなりスタックが深くて、アベレージが 60 bbで、自分は 70-80bb持ちでスタートして、1時間くらいが経過したころでした。自分は、このときセカンドチップリになっていました。

PREFLOP
BTN 荒井さん (AK) : Raise
SB チップリーダー : 3 bet

 これまで 1 時間プレイしてきて、チップリーダーの方への印象としては、チップがあるからといって無茶をするタイプではなくタイトにプレイされているな、というイメージでした。
さらに、ファイナルテーブルに入ってから初めての 3 bet だったので、強いハンドではあるんだろうなと感じました。
とはいえ、AK は強いハンドで、チップリがセカンドチップリに対してプレッシャーをかけにきているという可能性もゼロではないので、 4 bet をすることを選びました。

BTN 荒井さん (AK) : 4 bet
SB チップリーダー : 5 bet ALL IN

 すると、チップリーダーの方から 5 bet ALL IN が返ってきたんですが、ここで特に時間をかけることなく、あっさりと降りることができたんですね。
ここ 1 時間の状況を冷静に判断して、勝ってないなと思ったからです。そこで、AK という強いハンドを降りたということや 20 bbほど失ったということに対して、特にネガティブな感情になることもありませんでした。そのことで、客観的に自分の今日のメンタルの状態がすごく良いなということに気づき、優勝するなと思うようになりました。
 ちなみに、降りる時に AK をショーしたところ、相手の方もハンドを見せてくれたんですが、相手の方のハンドは AA でした。

ナイスフォールドでしたね!その後のヘッズアップはいかがでしたか?

 実は、ヘッズアップの相手もこのチップリの方だったんですが、ヘッズアップが始まったときにはスタックはほとんど同じくらいになっていました。
2 人とも70bb くらいあったと思います。ブラインドの上がり方もゆっくりだったので、最初の 1 時間くらいは相手の方がどういうプレイヤーなのかをより精緻に確かめることに集中しよう、と思いました。
多少負けてそうなハンドでもコールして、情報をとることを優先しました。「優勝するな」という気持ちではあったので、勝つ確率を 1%でもあげよう、そのために、自分にとって最良だと思う方法をとろうと思っていました。そういった意味でも、落ち着いてプレイできていたな、と思います。
 そうこうしているうちに、相手の方とスタック差が広がってしまい、相手の方が自分の倍くらいスタックをもっている状態になりました。そこで、ギアを一気に入れ替えることにしました。それまでは、お互いパッシブ寄りのプレイが多かったのですが、アグレッシブにギアを変えました。急にプレイスタイルを変えたので、相手の方も戸惑ったのではないかなと思います。その流れで運良くハンドも来だしたので、チップを増やすことができました。1 プレイで大きく動くということはなかったんですが、細々と増やしていって、1時間弱ほどでチップ量を逆転させることができました。
 そこから、何度かオールイン勝負でのシーソーゲームがあり、最後は J9 vs K6 (hero) というハンドでオールイン勝負になりました。J が出たものの、最後一枚フラッシュで逆転し、優勝することができました。

ヘッズアップだけでも 2 時間以上の大熱戦でしたね・・・!プライズの使い道は決めていますか?

 まだ決めていないんですよね。WSOP はやっぱり行きたいし、昔よく行っていた韓国やマニラに友人たちと行きたいなという気持ちもあるんですが、子供がまだ小さいので。子供がもう少し大きくなるまでとっておこうかなと。

海外トーナメントへのご参加はなかなか難しいとのことですが、JOPTは今後もご参加される予定はありますか?

 はい、メイン優勝するまでは出続けます!
自分は稀有な人間かもしれないんですが、WSOP より JOPT のメインで優勝したいと思っているんですよ。自分もそうですし、おそらく同じころにポーカーを始めた人たちは、みんな日本で一番のプレイヤーを決める大会は Japan Open Poker Tour だよね、と思っているんじゃないかな。JOPTは大好きすぎるので、死ぬまでに一回は優勝したいです。
これまでも何度かファイナルテーブルまでは行っているので、次こそは・・・。もし優勝したら、発狂するくらい嬉しいと思います。たぶん 9 年間追い続けていた女の子を振り返らせたような感覚ですね(笑)

JOPT愛を深く感じました!ポーカーを始められたのも 9 年前ですか?きっかけはなんだったんですか?

 はい、そうです。ポーカーというものは全然知らなかったんですが、海外の web サービスを使っているときに PokerStars のバナー広告を見て、なんか面白そうだなーと思ってクリックしたんですよ。
テキサスホールデムのルール自体は簡単なので、5 分くらいで覚えられて、プレイし始めたら面白いじゃん、と思って。やはり運が介在しないような完全情報ゲームとは違って、不完全情報ゲームなので初心者でも勝てそうなのが面白いなと思いましたかね。すごく単純だけど、駆け引きの要素があるのも面白いなと思いました。

オンラインがきっかけだったんですね?その後、どのようにしてライブでもプレイされるようになったんですか?

 1ヶ月くらいオンラインで遊んでいたんですが、初心者なので誰かに教えてもらえる場所があったらいいな、と思ったんですよね。
それで、会社のある赤坂から近いところで探してみたところ、検索結果に東京 de poker が出てきました。当時は今と異なり、バグースで渋谷、六本木、新宿などを曜日ごとに巡回する形式で開催されていたので、六本木で開催されているときに行ってみました。
当時はまだ、ポーカーは、コミュニティとしては狭く、殺伐としているというか、みんな真剣にやっていましたね。ライブでプレイするポーカーはこんなにヒリヒリするんだ!と感じました。
 その後、アキバギルドも会社から銀座線で一本でいけるので、行くようになり、予定がある日以外は毎日のようにポーカーするようになりました。ポーカーそのものにももちろんハマっていたんですが、そういった場所で人と話すようになって、たまたま仲良くなって、飲みに行った先でポーカーの話をする、というのが楽しかったんだと思います。

当時と今では客層ってかなり違いましたか?

 いや、年齢もさまざまでいろんなひとがいましたね。当時は、横澤真人くんや一ノ瀬公聖さんなどいま一線で活躍しているようなプレイヤーもふらっと遊びにきていました。
今だと有料だと思うんですけど、横澤くんや一ノ瀬さんに PokerStars の統計を見てもらってアドバイスもらったり、Stars でプレイしたハンドの履歴を振り返って意見をしてもらったりしていました。

良い環境だったんですね!今は、ポーカーはどのように勉強されていますか?

 はい、ただ勉強する環境という意味では今のほうが GTO ツールなども充実しているし、良いのかもしれないですね。
GTOをばりばり勉強しているような若いひとたちには勝てないと思います。自分は、ある程度ちゃんと座学をしたのは、最初の 3 年くらいで今は昔とった杵柄でプレイしています(笑)当時は、snowie をやったり、その後数値を見返してどうしたらより良くなるかを考えたりしていました。
 今でもたまにやっているのは、GTOツールで Excel に吐き出した集合分析を眺めることですかね。トーナメントでは、20bbや40bbのスタックを持っている時間が長いんですが、100bb持ちのときと比べると出来ることが限られています。このくらいのスタックをもっている状況でのプレイについて、集合分析の結果を見ながら「こういうフロップでは CB 打った方がいいんだな」といったことを考えています。

最近新しくポーカーを始められる方が増えていますが、新しくポーカーを始められた方に伝えたいことはありますか?

 ポーカー、特にライブポーカーの一番の魅力は、「新しい友達を見つけられる」ということだという点ですかね。
ポーカーはもちろんゲーム自体、破滅的に楽しいと思うんですよ。楽しくて、上手くなりたいから勉強したいし、勉強しても負けてしまうと、不条理なゲームだと分かっているのにイライラしたりすることもあると思います。オンラインだったらマウス壊したりしてもいいけど、ライブでそういった態度をとってしまうのはもったいないかなって。ポーカー界隈には、普通なら絶対会えないようなすごい人たちもいて、ポーカーを通じて仲良くなってご飯とかいけるかもしれない。
あと、社会人になって、仕事以外で一切利害関係なく気心の知れる友達ができることって、まずほとんど無いですよね。ポーカーを通じてそういった友人を作れるということが、やはりポーカーの魅力なので、人付き合いを楽しんでほしいなと思います。

最後に、荒井さんにとってポーカーとは?

 「長年寄り添った妻」ですかね。今は子供も産まれて、プレイする機会は減ってしまったんですが、それでもポーカーテーブルに座るとすごい落ち着くし、やっぱりポーカーって面白いな、と感じるんですよね。
今後の人生で、他に新しい趣味ができるかもしれないですが、結局ポーカーに戻ってくると思います。自分は浮気は絶対しないですが、浮気しても結局妻の元に戻ってくる、みたいな。ポーカーとは、そういった良い関係性を築けていると思います。

荒井さん、本日はインタビューありがとうございました。ポーカーへの愛、そして JOPT への愛が伝わる心温まるインタビューでした!今後の益々のご活躍をお祈りしております!

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Spadie