小原順さん EPT インタビュー

日本のポーカー史を塗り替えた!約5,000万円獲得!

EPT Prague Main Event 4th   小原 順 さん

世界三大ツアーの一つ EPTのメインイベントで日本史上最高の4位(1,267エントリー)を記録したみさわさんこと小原順さんにお話を伺います。
FT進出、さらには最終日となるDay6までの激戦に日本のポーカーシーンは白熱し、Twitterのトレンドにも「みさわさん」が入るほど大きな話題となりました。

本日はよろしくお願いします。まずは、みさわさんのポーカー歴を教えていただけますか?

ポーカー歴は6年くらいですね。
KINGさん(2016-7年でJOPTのメインを二連覇)が一回目の優勝した時の祝勝会トーナメントに知り合いに誘われて池袋ギルドに行って、初めてポーカーをしながらおぼえていった感じです。

そのあとわりとすぐにSPADIEのメインで優勝したのがきっかけとなり、ポーカーを初めて半年で海外に行く経験ができて、その時マカオのACOPの渡航費がついてきたのですが、初海外はちょんけちょんに負けてしまいました。

本格的な勉強はそこからでしょうか?

本格的な勉強はそこから三年しなかったです。
なので今からちょうど三年前から勉強を始めました。
Australian Poker Open, Gold Coastに行った時に、海外のトッププロと同卓してめちゃくちゃやられたんです。日本や、アジアでは感覚だけでも勝てるかもしれないけど、本当に強い相手には絶対にこのままでは勝てない、勉強しなきゃと思いましたね。

Timothy Adamsとかね、本当に強いんですよ。それに比べたら俺なんて子供じゃん、と打ちのめされましたね。

日本ではSPADIEメインイベント優勝にとどまらず、JOPTのメインイベントも優勝していらっしゃいますよね。
私からしたらそれらの実績は本当にすごいことに思えますし、さらにその上の壁にぶち当たったということなんでしょうけれども、想像もつかないレベルです。


ちょっと前までの自分のポーカーの概念とかってなんだったんだろうみたいな、JOPTメイン優勝とかも、でたらめというか、理論も何もなくて、完全に感覚とメタだけで相手の嫌なことやろうというだけでやってたんです。
でもそれでは限界があったということですね。

一念発起して勉強したことが結果につながったと感じますか?

今回のEPTメインイベントでも、それ以前の自分だったらあそこまで行ってないだろうなというのは正直ありますね。
トーナメントの座学は優勝する確率0.1%を死ぬほど勉強して0.2%にあげる作業みたいなところなんで、目に見えた結果になると嬉しいです。

みさわさんがEPTを走ってると日本で話題になったのはDay4くらいからでした。それまではいかがだったか教えていただけますか?

現地に着いてすぐ、ホテルにチェックインだけしてそのままDay1に出たんです。
Level3に座ってから通してずっとFTまでアベレージの倍を切ることがなくて、常にツイてました。

Day2でAKを持ってる時に68BBのアイソレートオールインしたら、テーブルチップリが僕のオールインに気づかずにAQでコールしちゃうということがあってそれでダブルアップしたなんてこともありました。
そこからはもうずっと右肩上がりでしたね。

Level3で着席ということですが、トーナメントはいつ着席するのが一番いいんでしょうか?

ICMで考えたらレイトで座るのが一番いいですよね。
でもその卓に長く座れば座るほど、自分の利益が出そうなら、自分にエッジがあると確信があって他にやることもないなら、僕は早く座りたいですね。
WSOPのメインイベントのような良いストラクチャーでスキルが競えるようなら特に早めに座ります。




Day4が終了しFTに進出決定のニュースは大変な話題となりました。Day5に向けて準備などされましたか?

Day3くらいから同卓してる人が配信に出たら名前を調べて全部プレーをみて研究しました。
自分は幸運にもFTまで配信卓には呼ばれなかったので、一方的にこちらが相手の情報を知ってるだけの状態で他のプレーヤーに自分のプレーが見られなかったのはよかったです。


自分が特に意識してたのは、
tonkaaaa(カナダ、本名Parker Talbot,今回5位、写真右から4番目)、Antoine Saout(フランス、今回2位、写真右から3番目)とJavier Gomez (スペイン、今回7位、写真左から3番目)
の三人で、それぞれごとに対レンジ構成を用意して臨みました。

こういった大きな大会では、配信されることで縮こまってしまう人が多いのでそれを逆手にとって大胆に、アグレッシブに戦えるようにと考えていました。

LJ Luigi D'Alterio55のオープン
BB みさわさん A5o でディフェンスしたハンド
983/9/8というボードで
リバーのみさわさんの小さなBETにLuigiがブラフレイズを返し、
みさわさんがAハイでコールしたシーンはナイスコールだとTwitterでも話題でした。


フロップはチェックで回り、ターンの僕のBETにLuigiがコールでした。

リバー8で自分がBETをしたのはプロテクトの意味合いが強かったのですが、8と9はBB側に多いカードで、このボードはAハイ同士のチョップも大いにあります。
上ポケは僕のBETにコール頻度が多いと考えていましたし、Kハイ、Qハイへのバリューを取りに行きつつリバーのビッグレイズにはフォールド、中途半端なレイズにはコールのラインを取ろうと思っていました。

みんなが応援してくれてる中、もしAハイで勝ってなかったら恥ずかしいから、一瞬ひよりそうにはなりましたけどね。笑

その後、またLuigiと当たって
HJ Luigi JJ
BB みさわさん KQ でコール
フロップKハイボードでLuigiのBETにみさわさんがチェックレイズを返し、コールをもらえたものの、
リバーで不運にもJが落ちてしまったシーンがありました。
みさわさんのリバーのBETにLuigiが大きくレイズを返して、みさわさんは考えた末「JJ?」といってナイスフォールドをされましたね。
神フォールドでこのハンドも話題になりました。



リバーは結構考えましたね。 降りちゃいけないと思うんですけど、あそこで大きくレイズできるブラフレンジをLuigiは構築できてないと思ったので「JJ?」って言ってエクスプロイト気味におりました。
一般的なプレイヤーに多い特徴として、本来バリューに寄る小さい額のBETの中にブラフが多く、大きい額のBETにブラフが少ないというものがあると思っていますので、このアクションラインにブラフを適正に構築できていないと予想しフォールドを選択しました。
この相手がLuigiじゃなかったら、さっきのハンドもこのハンドも違うアクションを選んだかもしれないです。

みさわさんが印象に残ってるハンドはありますか?


KQでオープンして3wayになったハンドですね。

ターンでKハイボードとなり、UTGからはなかなかBETするのが怖いシーンですがマックスバリュー(300万点POT)を取れました。 周りから見たら地味なワンハンドだと思うんですけど自分的にはこういう所で大きく取れたのがよかったです。

当日のみさわさんは不運などでチップを減らしてもまたすぐPOTをとって復活するイメージでした。

チェックで回してもいいようなところを取り逃がさないように厳しく打ちましたね。
リバー1.2BBみたいなとても小さなバリューでも、それがあれば次のBB一回降りれますからね。
そういうところはすごく大事にしていました。

BTN Saoutのオープン33 
BB みさわさん 75oでコール
フロップ 366
フルハウスを引いたSaoutのcb、
ガットショットドローのみさわさん レイズ、
Saoutは3BET、
みさわさんがタイムバンクを使って4BETを返したのに対し、
Saoutは5BET ALLINをするという激しいシーンも印象的です。


Saoutが僕のことを格下に見てるのは当たり前の事です。

僕の賞金獲得額は、日本国内でこそ上位の方ですけど、FTのメンバーでみれは4番目、彼の賞金獲得額(約8億円)に比べたらすごく小さい。
モブキャラだと思われてるなとか、こういった客観的に’どう見られてるか’って測る力が大事だと思います。

僕を格下と思ってるなら僕はバリューでしかレイズしないと思われてるだろうし、チェックレイズ・ましてや4BETレンジにブラフ頻度が高いようには見えてない可能性が高いと思ってます。

そこで366ボードでバリューだと思われているならこちらのハンドは最低6xに見えるから、4BETまで打ったらAA・KKみたいな上ポケでもエクスプロイトフォールドを取れる可能性がある。

IPコールに回さずに、『ブラフではない』=『6を持っていてもう降りられない』だろうと思ってSaoutは5BETオールインをしているんですよね。お互いのメタ読みですね。本当に楽しい1ハンドでした。


別のシーンですが、SaoutのオープンにA6でBBから3Betしてフロップ10%CBにSaoutは88を持っててすぐ降りていました。
このハンドでも僕を格下スケールしてるなって思います。 僕のBB3BETレンジがリニアに思われているかな、と。

Day5 が終わり、相対的に見てショートでDay6進出となり焦りはありましたか?

アグレッシブに寄せたアクションで、ハンドごとには下振れもあったし、簡単にとれるシチュエーションも少なかったですが、落ち着いて降りるべきところは降りれて、内容は悪くなかったと思ってます。
あの状況、アグレッションをあげたほうが利益的だと思ってやってたので、ポストフロップも多く戦うし、うまく降りれることも重要なんです。
降りられなければもうとっくに飛んでいますからね。

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Day6のラストハンドはいかがでしたか

チップ状況にもっと差が無ければSaccucciのプリフロップ3betに降りられていたと思います。
これで飛んでしまったけど、配信卓に映らなかったところの方が見どころあったので悔しいです笑
悔しいけど、これからもずっと一生涯ポーカーを続けていくので。本当に優勝出来ずにすいません。次はきっと優勝したいですね。


今後目指したいタイトルは?

やっぱりメインイベントがいいですね。
WSOPやEPTのメインツアーのメインイベントって世界中に発信されますし、みんなに応援してもらえますからね。
本当に皆様の応援が力になりました。
WSOPのメインイベントのFTに日本人が進出するのももうそろそろ時間の問題だと思ってます。
この数年で日本人のレベルもとんでもなく上がったと思います。
もちろんそこへ自分が辿り着けたら一番いいですけどね。

ぜひWSOPの配信でみさわさんのプレーが見たいです、応援しています。 ポーカーは一生涯続けていくとおっしゃってましたが、例えばSPDIEのメインを優勝した時のみさわさんとと今のみさわさんでは見える景色も全然違うと思うんですが、これからポーカーに向き合い続けるにあたってご自身にまた新たな変化があったりすると思いますか?

ポーカーを教える仕事をするようになってから、自分の生徒さんが優勝とか活躍してくれるとすごい嬉しいんですよ。僕は自分がプレーするより人に教えるほうが天職かもしれないです笑
自分がもつ知識・経験を受け継いで活躍してくれる人が出てきてくれることが、嬉しいんですよね。そこから成長した生徒さんから逆に教えて頂いて。最高の循環ですね。

みさわさんご自身はどのような勉強からはじめたのか教えていただけますか?

本格的なGTOの勉強を始める前は、コンボ数をとにかく数える練習をしました。
コンボ数を紙にコツコツと書き出して考えるのが自分の礎で、生徒さんに教える時もそれは伝えてます。
フロップで相手からコールを貰えるコンボは何通りあるかとか、具体的に考えられるのってすごく大切なことです。

僕の受講生には、小学生で8,9才の生徒さんもいて、まずは算数から教えることになります。
組み合わせとか確率、期待値、といった概念から教えないといけない。
ポーカーを学ぶことで9歳の子が数学に触れるのって凄くないですか。

すごい英才教育ですね!みさわさんはコーチとしてだけでなく、JOPTの配信での解説者としても人気です。これを読んでいるファンの皆さんの中にはみさわさんのように海外で活躍したいと思ってる人もたくさんいると思います。



僕はJOPTに出場している方が、後にその人の大切な人…親とか奥さんにその配信を見せることができる作品になるように、という心掛けで解説させて頂いてます。

一見GTOベースから外れているプレーに見えても結果エクスプロイトの観点から見るといいプレーだったみたいことも沢山あるし、自分がやりたいようにようにして自由に楽しんでプレーして欲しいですね、それを全部俺が解説で受け止めますから。

実際自分がSPADIEを獲った時もあれは勘違いで勝てただけですけど、それで世界に行くいいきっかけをもらえて、海外に初めていってボロクソにやられて、また強くなりたいと思ったから、今の僕があると思ってます。

ポーカーにおいて成功体験も失敗体験ものちの自分を作る貴重なものとなるので、みなさんにもたくさんの経験をなるべく早くにして欲しいって思ってます。まず楽しむのが1番ですし、みんな違ってみんないいのがポーカーですからね。

ありがとうございます。最後に、みさわさんを応援するみなさんに一言お願いします。

今回のEPTで、もしかしたらトロフィーを持ち帰ることができるかと思ったんですけど、まだ実力不足でした。
アミューズメントスポットで放送を見てくれたり、メッセージでも応援してくれて嬉しかったです。
みなさんの熱い声援が本当にパワーになりましたし、心も温まりました。
次こそメインイベントのトロフィーをとれるように今後も頑張りますのでこれからもぜひ応援お願いいたします。ありがとうございました。

海外のトップと渡り合うための貴重なハンドレビューや、解説者、コーチとして人気の秘訣もお聞きできてよかったです。 WSOPやEPTのメインイベント配信でみさわさんがまた見れる日を心待ちにしたいと思います! みさわさんの今回の大躍進は全ての日本のポーカープレーヤーに夢と感動をもたらしてくれました。 本当にありがとうございました!

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みさわさんが講師を務めるポーカースクール POKER BRAIN はこちら
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