歴代の日本記録を塗り替える快挙!!
WSOP 2023 LADIES No-Limit Hold’em Championship 準優勝
Shiina Okamoto さん
WSOP レディース チャンピオンシップで総エントリー1,295の中から、日本人女性として歴代最高位の2位を記録し、ファイナルテーブルの激闘の様子は、WSOPの公式放送で中継され、世界中から大きな注目を集めたShiina Okamoto さんにお話を伺います。

WSOPレディースイベントにて、日本人初のファイナルテーブルに残り、過去最高順位獲得、本当におめでとうございます。
まずはしいなさんの自己紹介的なところからお聞きしてもいいですか?
ありがとうございます。
ポーカーを始めたのは、2020年のはじめぐらいです。
頭を使うようなゲームは元々好きでボードゲームも趣味でやっていて、カタンやドミニオンをよく仲間と集まってやっていました。
ボードゲーム仲間の一人がこういうのあるよと、ポーカーを持ってきてそこからっていう感じですね。
WSOPに初めて参加されたのはいつでしょう?
一昨年からです。
ちょうどコロナも少し落ち着いて海外に行けるようになったのもそのくらいだったので。
一昨年というと、ポーカー歴がそんなに深くない時期からWSOPに参加してらっしゃるんですね。
初めて1年くらいは雰囲気でやっていました。
バリューもブラフもよくわからない位でやってて、1年くらい経ってから
本を読み始めて、座学の超初歩的なところを始めるようになりました。
もともとトナメの方が好きでプレーしていましたが、ポーカーの理論的なところを固めるために、キャッシュの勉強も1年ほど前から始めました。
トナメに関しては、最近GTOWizardBlogにMTTの有用な文献がたくさんあることを知り、よく読んでいます。
ChipEVのプレーはキャッシュで勉強し、$EVのプレーはGTOWizardのMTTソリューションやBlogの記事で勉強し、そこから伸びた感覚はあります。
キャッシュゲームに関しては友達と定期的に勉強会をしていて、そこで理解の深い友達から色々教えてもらっています。
また、トーナメントに関してはプロポさんのコーチングを定期的に受けています。
トーナメントは個々のハンドについて質問してもわからないことが多く、前後の流れや状況も判断材料として不可欠なので、自分のトーナメント全部の動画を送って見てもらっています。
個人での座学プラス、周りの人の協力もあって結構成長したのかなと思っています。
両方しっかり勉強されている方って実はほんの一握りですよね。
キャッシュの勉強はもともとポーカーの基礎を学ぶために始めたのですが、キャッシュの方がトーナメントと比較して自分が勉強したことがわかりやすく成果として出やすいのでモチベーションが維持しやすいと感じてます。
一方トーナメントも、ディープランしたときに感じる達成感のようなものは非日常で刺激的であり、キャッシュもトナメもどちらも別の魅力があって同じくらい好きなので、同じくらいやっています。
どちらもやっていた方が、メンタル的にも飽きが来なくて良いです。
トーナメントで滑り続けると、それが運の要素だったとしても気分がへこんでしまいがちですが、キャッシュもやっているとEVがプラスのプレーをできていると思えるのでメンタルの安定にも繋がります。
逆にキャッシュばかりだと単調なところもあるので、トーナメントがエンターテイメント的な位置づけになっているのだと思います。
なので、そもそも両方好きという前提ですが、両方やってると、モチベーションも含めて、それぞれの欠点を補い合って常に勉強し続けられるのかなと思います。
ありがとうございます。貴重なお話がお聞きできて嬉しいです。
それではWSOPレディースの本番のお話を伺いたいと思います。
Day1終わったぐらいの時に、しいなさんが
ブレスレットを取るなら今しかないみたいなツイートをされていたと思うんですけど、レディースにかける特別な思いのようなものはあるんでしょうか?
実は、元々はレディースには絶対出たくないと思っていました。
レディースにはレディース特有の独特なプレーをする人も多く、それに対して自分はティルトして自爆してしまいがちなので絶対出たくないくらいの気持ちでした。
でも、友達がエッジが出るから絶対出た方がいいと推してくれて、確かにメンタルが不安なだけで、レベル的には多分エッジは出るはずだから、ティルトしない強い意志を持って頑張ってみようかな、と思って出ることにしました。
例えばDay1に関してはマージナルなハンドでのリンプがすごく多く、実際リンプでマルチウェイで回ってきて、これはオールインすれば絶対降りるだろうという読みに自信があったので自分がBBからJ8oで25BBのオールインをしたことがあったのですが、2人目のリンパーにAJoでコールされました。結果的にリバーで8を引いて勝ったのでよかったですが、
まさかコールされるとは思ってなくて、自分の読みが甘かったのもあるとは思いますがレディース独特だなと思いました。
それから、もう一つ衝撃的なハンドがありました。
EP Raise/Call
MP1 Call/Call
MP2 Call/Call
(しいなさん)SB TT 3Bet
4way
フロップ
A83r
(しいなさん)SB Check
EP Check
MP1 All-In(POT 20%size)
MP2 Call
(しいなさん)SB CALL
EP CALL
ターン
ラグ
リバー
Q
全員 Check
ハンドショーになって、私のTTが勝っていたんです。
Aハイボードなのに誰もA持っていなくて、奇跡だと思いました。
正直、レディースでエッジを出したというよりも、よくわからないシチュエーションに巻き込まれたけど、ラッキーだったみたいなのがDay1でした。
Day1でチップを築いて結構注目されていましたよね。
その時のお気持ちとか覚えてらっしゃいますか?
チップを持った上で、苦手意識を持っていたレディーストーナメントにもう少し前向きに頑張ろうという気持ちになれました。
Day1は先ほどのように誰も降りないのでブラフはほとんどしませんでしたが、Day2になってからはチップを持ってたし、比較的普通のプレーをする人が増えてくると思ったので、ブラフも取り入れていきました。独特なプレーをする人もまだ結構いましたが、友達にLINEでプレーの報告をすることで割と冷静にDay2をプレーできました。
Day3では、レポートでは理解してもらえないと思いますが、チップリーダーに対して、何もないAハイでリバーのベットにレイズを返してチップリーダーの座を奪ったハンドが印象に残っています。
相手のレベル感とリバーのドンクベットのサイズ感からハンドがマージナルだと読めたことと、チップリーダーとセカンドチップリーダーだからこそのやりとりだったとおもいます。実際相手は2ペアだったと言っていました。
Day4のFTまで来るとSNS上もしいなさんの応援一色に染まるほどの盛り上がりでしたが、ご本人としてはいかがでしたか?
FTになると公式配信もありましたし、応援されて嬉しかったのですが、あそこまで人に見られることが今までなかったですし、チップを持っていて勝ちへのプレッシャーもあり、とても緊張していました。
FTでのプレーで印象に残ることはありますか?
一番強いと思っていたプレーヤーが1番席に座っていたキプロスのChrysi Phiniotisでした。(しいなさんは7番席)
しかしChrysi Phiniotisは11bb持ち、一方自分は110BB以上持っていたので、彼女を飛ばしにいきたいと思っていたのですが、他の人とぶつかって一番最初に飛んでしまいました。その次に警戒していた4番席のTara Cainも6位で飛んでしまいました。
結果的にその警戒していた2人に関しては考えることが何もないまま終わってしまいました。
FT序盤、JJvsKJやセットオーバーセットでぶつかって、バットビードでチップを減らしてしまいましたね。
FTでのプレーに関しては勉強した自負があったので、そのバッドビードをくらってもメンタルは安定していて普通にプレーをできていたのでヘッズまで行けたと思っています。
ヘッズの段階では、周りから見える自分と、自分の心境には結構ギャップがあったのかなと思っていて、周りにはティルトしているように見えたかもしれないですが、実は全然そんなことはなかったです。ただ逆に、辛いシチュエーションを2回(JJ<KJとSOS)も乗り越えてここまで来たから、自分はやりきった、ここまで頑張ったら十分だ、という気持ちになってしまっていて、優勝への執着が薄れてしまっていました。
ヘッズの相手Tamar Abrahamにスキルとして圧倒されていたつもりはないですが、終始緊張する状況だったのでとても疲れていて、自分は頑張りきったし、もう早く終わりたいという気持ちにもなってしまっていました。
特に最後のハンドは、その気持ちが影響したと思います。
その直前に完全なエアーでチェックレイズを打たれたんですが、冷静にいつも通り考えられていたら、相手もそれを見られた後すぐにブラフはしにくいだろう、と考えられたはずですが、緊張していたせいで、そうは思えなくて、またブラフの可能性が高いという思考になってしまっていました。それに早く終わらせたいという気持ちもあり、最後はサードヒットでオールインして負けてしまいました。
あのような注目を浴びる舞台は初めてだったので正常な判断ができなくなってしまいましたが、この経験は次に優勝するために必要だったと思うようにしています。
優勝したTamar Abraham、ヘッズになった途端、それまでと段違いにアグレッシブになったようにも見えましたが、何か感じられましたか?
ハンドが終わる毎に、それぞれ後ろにいる応援団がいるところに行って作戦会議みたいなことをして、対戦相手のテルなども教えてもらったりしていました。
私は一番アグレッション高くプレーしていたので、それを配信で見た対戦相手の仲間から
Abrahamもアドバイスをもらってプレーが変わった可能性はあると思います。
私も作戦会議をしている時に、応援してくれていた人がAbrahamの仲間のミーティングの内容を聞いてきて、私にテルがあるという話をしてたことを伝えてくれました。おかげでそれをリバーステルとして使える時は使うようにしてました。
トーナメントを終えられて率直な感想はありますか?
終わった後にほとんどの友人は、
「アンラッキーだったけど、実力的には一番上手だったよ。」と言ってくれて、
それはそれで嬉しかったですが、自分の中では実力的に一番上手なのに負けたということの方が辛くもありました。
印象的だったのは、一人の友人が言ってくれた「そういうメンタルのブレによって正しいプレーができなかったのも、今の実力なんだから仕方ない。」という一言でした。
あの時の自分でも状況次第ではもっとうまくプレーできたかもしれないと思ってしまうと、後悔とかモヤモヤした気持ちになりますが、あの時の自分の経験値では何回同じシチュエーションになっても同じ結果になったんだと良い意味で割り切ることができました。
今回はヘッズアップを勉強してこなかったという自信のなさもメンタルを不安定にさせる原因だったので、今後は自信を持ってプレーするためにもヘッズアップを勉強していきたいです。
トーナメント中、気をつけたことはありますか?
レディースは同じ規模のトーナメントの中ではロングストラクチャーだったので、無理をしないということを意識していました。
あと一般的に、女性はティルトして攻撃的になる人が多いと感じていたので、普段はあまり周りのプレーヤーと仲良くワイワイしたりするタイプではないですが、この時は特にフレンドリーにしようと心がけていました。
しいなさんが準優勝になってされたツイートにたくさん反響があったと思います。その後いかがでしたか?周りもしくはご自身に変化はありましたか?
配信で自分のミスプレーを見られたのが恥ずかしいという気持ちが強く、自分でもまだ見返せていません。
終わってからの話だとその後にメインイベントに参加した時に自分の変化に気づきました。
今までなら、メインイベントに出ても、優勝までは狙えると思ってないし、入賞できたら良い位にしか思っていませんでした。
勿論、メインとレディースでは規模もレベルも全然違うと思いますけど、
レディースとはいえ、一回FTに座ると、メインも優勝を目指そうみたいな気持ちになれて、その流れはとても良かったと思います。
また、レディースでもDay3は半日ハンドが来なくて、長い時間我慢するときがありましたが、半日過ぎた後にきたKKでダブルアップしてチップリーダーに近づきました。
それもあって、そのあとのメインイベントでも、ハンドを待つことにストレスを感じなくなりました。結果はミニインマネでしたが、自分の中では上出来だったと思います。
今後、他のいろんな大会に出るとしても多分FTまで行った経験は、自分の自信になって、メンタルの安定につながると思います。
しいなさんがポーカーをはじめた3年半前と今とでは付き合いのあるポーカーコミュニティとかって移り変わったりなどあると思いますが、そういった転機のようなものがあれば教えていただけますか。
まず1つはプロポさんのコーチングを受けるようになったことです。
プロポさんと知り合いになる前からポーカーを習うならプロポさんがいいと思っていました。
去年のWSOPの時に知り合って、その後会う機会があったんで、私の方からコーチングをしてくださいとお願いしました。
あとは、友人が誘ってくれたことで先ほど話した勉強会のコミュニティに入れたことです。メンバーのレベルが高すぎて毎回終わると少し凹みますが刺激をもらえてます。
転機といえばそこかなと思います。
しいなさんのの今後のポーカーの目標があればぜひお聞きしたいです。
トーナメントに関しては、スキルを上げたい以上の具体的な目標はありません。優勝はもちろんしたいですけど、それは目標にすることではないと思ってます。以前は優勝だけを目指す気持ちが強く、$EV(賞金期待値)ではマイナスでも優勝の確率をあげることを意識して比較的分散の高いプレーをしていました。ですが、本当にトーナメントを勉強してる人は「$EVを追求したプレーをすることがトーナメントプレーヤーとして正しい」という人が多いという感覚があり、自分もそのような考え方に変わりました。もちろんそれは個人の価値観なので優勝のみを目指すプレーを否定してるわけではありません。
トナメもキャッシュも両方勉強するのも大変でしょうし、稼働する時間も結構必要になってきますよね。座学やプレーの時間のバランス、どうされているんですか?
トナメはSit&Goをよくやっています。FTやバブルでのプレーは大規模なMTTだとあまり頻繁には経験できないですが、私がプレーしているSit&Goは18人からスタートして、4人からインマネなので、トナメの練習にはなったと思ってます。
あとは、海外のプレー配信もよく見ています。
WSOPとか特にそうですけど、レベルの低いところから高い人までいろんな人がいるから、そういうのを見るのも結構大事かなと思っています。
しいなさんの人生、ポーカーがどのくらいの割合を占めてますか?
多分、ほんとに99%だと思います。
365日ポーカーに触れない日は、ないと思います。
プレーとか座学とか何かしらの形で触れています。
ポーカー一色な感じ、これからもずっと続きそうですか?
3年半やってたら、飽きて辞めちゃう人も中にはいると思うんですけど、そういう飽きはまったくなくてどんどん好きになってるので、体力的に一生続けるのは無理と思う一方で、これを辞める日がくるとは今のところ全く想像がつかないですね。
最後に一言お願いします。
私は、センスっていう言葉がすごく嫌いで、ポーカーは運でも勝てるところがあるから勘違いしやすいですが、うまくなるかどうかは勉強するかどうかが全てだと思います。センスが影響する領域は0ではないとは思いますが、それは本当に本当に努力しきった上位0.01%ぐらいの層だけだと思います。なのでこれからも伸び悩む時期もあると思いますが勉強し続けていきたいと思います。
勉強すること、勉強したと自負できることが自信とプレーにつながる。その強い信念をあらためてお聞きすることができて本当に良かったです。本日は貴重なお話をありがとうございました!!
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