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MunehikoMatsuyama
松山 宗彦さん 青山学院大学国際政治経済学部卒業。一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。 ニューヨーク州立大学バッファロー校経営大学院卒業。在米生活14年の間に、 アメリカの爆発的ポーカーブームと出合い、プレイを始める 。 日本人に強くなってもらいたい一心で、海外のポーカー本や情報を日本語に翻訳し、 日本ポーカー界に貢献している。
主な翻訳本 フィル・ゴードンのポーカー攻略法 入門編 フィル・ゴードンのポーカー攻略法 実践編 ガス・ハンセンのポーカーミリオンロード オンラインポーカーで稼ぐ技術 (上) オンラインポーカーで稼ぐ技術 (下)


フィル・ゴードン HendonMob

ガスハンセン HendonMob

オンラインポーカーで稼ぐ技術を翻訳された松山 宗彦さんにインタビュー ポーカー教本の翻訳をされ、多数の海外のポーカー本を読破している松山さんに訳本についてと 翻訳への思いとポーカー界の展望について聞いてみました。

 

-- ポーカー(テキサスホールデム)との出会い --
2003年にクリス・マネーメーカー(Chris Moneymaker)がWSOP メイン イベントを制覇し、 アメリカでは空前のポーカーブームとなっていました。 ESPN(アメリカでWSOPを放送しているスポーツ専門テレビ局)でそのWSOPメインイベントの模様が 放送されるようになっていて、2004年ごろにその番組を観た時に、何て面白そうなゲームなんだと興味が 沸きました。プレイするよりも先にポーカー番組にハマっていたのです(笑) そして、オンラインポーカーを始めるようになり、フリーロールのトーナメントを主にプレイしていました。 ある日、そのトーナメントの決勝へ勝ち上がった時に少し勉強しようと思い、NYの本屋でダン・ハリントンの「ハリントンホールデム」を見つけました。 それを読んで、今まで自分は何をやっていたのだろう。この本を読み終えるまでポーカーをプレイしたくないと思ったほど、ものすごい衝撃を受けたのです。もちろん即座に購入しました。そこでポーカーの理屈や セオリーを把握することができました。 2005年に帰国した時、日本人でテキサスホールデムをやっている人なんていないだろうと思っていましたが、たまたま「ひゃっほう掲示板」を見つけ、書き込みをしている皆さんが私の様にポーカーに出合って、 面白さにハマっていることを知りました。そこで感じたのは、日本人がここから世界を相手に戦っていくためには情報が決定的に足りない、ということでした。アメリカではポーカーは国民的ゲームですから、 情報も本も交流も溢れています。でもそれが当時の日本のポーカープレイヤーにはありませんでした。 日本の現状を目の当たりにし、私は海外の情報を日本に持ち込むお手伝いができればという思いが強くなり、「ひゃっほう掲示板」管理人のCCさんと少しづつ交流を深め、お手伝いさせてもらうようになったのです。

 

-- ポーカー本の翻訳をされた動機 --  
「日本人プレイヤーに世界と戦って勝てるように強くなってもらいたい」という思いですね。 ですが、いきなり本の翻訳ということになったわけではありません。先程述べた「ひゃっほう掲示板」管理人の CCさんとお話するうちに、私が海外の情報を日本語にするお手伝いをしましょうと、ボランティアで和訳を していました。そういった活動をしているとCCさんから、 「フィル・ゴードンのポーカー攻略法 入門編」(グリーンブック)の翻訳を手伝って欲しいと依頼があり、 お手伝いさせて頂きました。それがきっかけとなり、その後、出版社であるパンローリングさんより、 「フィル・ゴードンのポーカー攻略法 実践編」(ブルーブック)の監訳のご依頼を受け、私はお手伝いさせて頂きました。 そうして、ガス・ハンセンの「Every Hand Revealed」(日本語タイトル:ガス・ハンセンのポーカーミリオンロード)の翻訳を単独で依頼されるようになり、最新刊の「オンラインポーカーで稼ぐ技術 上下巻」も パンローリングさんから、直接、翻訳の依頼を頂くようになりました。ポーカーを愛する仲間から、 繋がったありがたいご縁に感謝しています。

 

-- 日本人プレーヤーへメッセージ --  
まず始めに本を読んだ方が良いのかどうかという疑問を持たれている方が多くいらっしゃいます。 私の答えは、翻訳者としては当たり前のことですが、本を読んで得られることは大きいということです。 思い切って言ってしまいますが、「読めば必ずポーカーが強くなる」と、少なくとも私は思っています。 ガス・ハンセンの「ポーカーミリオンロード」を例に上げると彼のプレイスタイルは超アグレシッブで力押しする。多くの人がそんな印象を持っていると思います。 しかし、この本を読んでみると、ちゃんと考えて根拠があってプレーしてるのです。そんな発見があります。 私がポーカーに深くはまった理由が、素晴らしい本に出合ったという経緯があるから思うことかも知れませんが、本を読んで勉強することの重要性を理解していない方が多くおられるように感じます。ポーカーをプレイしていると、疑問や壁にぶつかることは誰しも経験することです。そんな時こそ読んで欲しいですね。 そして読む時には何らかの問題意識を持って読んだ方が良いです。と、いうのも何も考えてない状態で読んでも、著者たちが教えているプレイを見て、「こんなプレイもうやっているし」、「こんなこと知っている」と思いがちです。私自身もそういうことがあります。でも、なぜ自分は勝てないのか、とか、ああいうプレイはどうしたら出来るようになるのだろう、とかいう風に疑問を持って本を読むと、書かれていることがヒントになる。この問題意識を持っているかどうかが非常に大事ですし、自分が何に問題を抱えているのかで目に入る情報は 違ってきます。悩みが沸く毎に、繰り返し読み返してもらいたい。 ハンド数をこなすことも大切ですが、テーブルから少し離れてポーカーを考える時間も大切だし、 せっかく日本語の本が出てるんだから、一度は手に取ってみて欲しいですね。


-- 日本のライブポーカーの発展について --  
私が帰国した当時はライブポーカーを楽しめる場所はごく僅かしかありませんでした。 それがどんどん店舗が増えて劇的に環境は良くなりました。 しかし、それと同時に閉店してしまう店も多くて非常に残念です。 私が帰国した当時は、日本でライブポーカーを楽しめる場所は、東京に2、3か所あっただけでした。 それが今では日本中でそういう場所が出来ています。例えばアキバギルドは日本最大のポーカースポットと言っても過言ではないでしょう。経営者の藪内さんは非常に努力や工夫をされていて、たくさんのポーカープレイヤーを生み出してくれています。 こんな風に日本でポーカーが広がりつつあるのは、まず何と言ってもポーカー自体がとても面白いからですよね。私がある年のポーカー全日本選手権(AJPC)の予選に出場した時のことですが、まだ覚えて数ヶ月のプレイヤーが「ポーカーってなんて面白いんだ」と目をきらきらさせてプレイしていたことを思い出します。ちなみにその会話は、帰りの電車の中でのことで、彼も私もすでに敗退していたにも関わらずです。 この成功したビジネスモデルを多くのポーカーハウスに広めて、各地域で安定した経営が行なわれるようになれば、もっとポーカー人口は増加すると考えます。 そして、やはりマカオの存在は切り離せません。これについては後ほどお話しましょう。

 

-- これからのポーカー界の展望 --  
私ごときに、日本のポーカー界の展望を語る資格があるかどうかはさておき、日本のポーカーが 発展できるかどうかは、2つのことが大きく影響してくると思います。 ・マカオで安定してビッグトーナメントが開催されること。 日本でもライブポーカーをシリアスにプレイされる方が増えていますが、その背景として、それをステップとして、国際的なトーナメントで入賞や優勝したいという思いがあるのではないかと思っています。その上で、マカオと言う比較的近い距離の場所でレッドドラゴンなどのビッグトーナメントがもしなかったとしたら、 シリアスプレイヤーの成長を含め、ここまで日本人のプレイヤーは増えていなかったのではないでしょうか。 今では大勢の人が年に複数回マカオへ挑戦するようになりましたね。 マカオでこのようにビッグトーナメントが安定して開催され続けることは、日本のポーカー、特にライブポーカーの発展にとって不可欠だと思っています。 ・アメリカでのオンラインポーカーの再開 現在アメリカではオンラインポーカーをプレイすることができません。ポーカーの母国、アメリカでオンラインポーカーが出来ないということ自体、とても不自然なことですよね。 アメリカで野球が行なわれていないようなものです。アメリカ人もそう考えているようで、先日、「ポーカーは違法賭博行為に当たらず」という判決が出るなど、オンラインポーカー再開への法整備を促すような進展が起きているのは、いいことだと思います。何よりもポーカーはアメリカ文化に深く根付いているゲームなのだから、早く再開できると良いですね。世界中のポーカープレイヤー達がそれを望んでいるはずです。

-- 「オンラインポーカーで稼ぐ技術」はどんな本ですか --  
オンラインで素晴らしい成績を上げている3人のプロポーカープレイヤーが、自分たちがオンライントーナメントで実際にプレイしたハンドをハンド検討のような形で記述しています。その時々に何が起きて、 どんな考えでアクションを起こしたかを逐一丁寧に解説しているハンドレビュー本というわけです。 何が素晴らしいかと言うと彼らの「思考の内容」がつまびらかにされているところで、 それが非常に参考になるでしょう。 例えば、ハンドを公開しているポーカーの動画を観て、そこでブラフをしている映像が流れている。しかし、 何故ブラフをしているのか、どんな理由でブラフをして、それが正しいと言う理論までは伝わりません。 この本ではプロが何を考えているのかが、直接彼らの言葉を通じて勉強できます。 上巻では、トーナメントの序盤からインマネバブルが弾けて入賞決定までが書かれています。 そして上巻の終章では共通ハンドを3人が別々に回答して、3人の意見が同じだったり違ったりと、 非常に興味深い内容で色んなパターンのアプローチが学べるはずです。 下巻では上巻とは違って個々のハンド検討ではなく、インマネ(入賞)確定後からファイナルテーブルまでが 1つのストーリーで書かれています。 トーナメント後半になるとハンドの重要性より、スタックやテーブルイメージの重要性が上がりますが、 そのあたりもしっかりとカバーして書かれています。 「ガス・ハンセンのポーカーミリオンロード」では彼がオージーミリオンズというトーナメントで優勝するまでのハンドレビューが描かれていますが、それに似た描写で書かれています。3人のプロプレイヤーもバブル後、チップリーダーであったり、アベレージ下であったり、バラエティに富んだトーナメントプレイで、プロ達はその状況下で何を考えプレイしていたのかを参考にしてもらいたいですね。ポーカートーナメントは序盤、中盤、終盤でプレイの内容は変わってきますよね。「 オンラインポーカーで稼ぐ技術」という本はそういった全部を網羅して書かれている所が特徴です。 この本はアメリカでも評価が高くてロングセラーになっていて、以前から日本のプレイヤーの皆さんにも読んでいただきたかった本の1つでしたので、パンローリングさんからの依頼が来た時は嬉しかったですね。

 

-- 個人的に翻訳してみたい本 --  
私が翻訳したいというか、日本のポーカープレイヤーの皆さんに読んでいただきたいと思うような本は 沢山あります。 ひとつには、最近出版された本。ポーカーの戦略についての研究や、それをどう他人に伝えるかの技術は どんどん進んでいますし、それらを反映した本も出版されています。例えば、私自身が最近最も影響を受けたのが、エド・ミラー(Ed Miller)の“How To Read Hands at No-Limit Hold'em”という本です。 これは相手のハンドのリーディングということにテーマを絞った本で、ポーカーで一番大事なんじゃないかと思える、「相手のハンドが何であるかを絞り込んでいく」という技術を勉強することが出来ます。 個人的に私は、これが日本語で翻訳出版できるようになることを切に望んでいます。 あと、Annie Dukeの“Decide to Play Great Poker”これは少し毛色が変わった本で、ポーカーのプレイでの意思決定のプロセスについて、他の本の何倍もかけて、少しくどいくらいにまで丁寧に説明した本で、ポーカーで何よりも大切な「正しい決定」について学べる本です。 「オンラインポーカーで稼ぐ技術」の原本である“Winning Poker Tournaments: One Hand at a Time”シリーズの第3巻がこの秋アメリカで出版されるようです。これは私ももちろんまだ読んでいませんが、1、2巻の翻訳を読んでいただいた方なら、3巻目も素晴らしい内容であろうことはほぼ確信していいという、私の考えに同意していただけるかと思います。第3巻が翻訳出版されるかどうかはまだ未定なので、「稼ぐ技術」をお読みになって満足なさった方は、パンローリングさんのほうに、「翻訳出版希望」とぜひメールなさってくださいませ。 次にポーカーの教本ではなく、「文化としてのポーカー」や、「ポーカープレイヤー達の物語」の本。 ポーカーはゲームとしても面白いですが、その裏にある「ポーカー的精神」のようなものに触れれば もっと面白くなると思います。なかでも素晴らしいのが、James McManusの“Cowboys Full: The Story of Poker” この本は「アメリカの歴史の中でポーカーというものやポーカー的精神がいかに深く染み込んでいるか」ということを、いろんなエピソードを通じて語っている本で、「スタッド」や「ホールデム」の由来や歴史、WSOPが如何にできたか等、エピソードを通じて楽しめる本になっています。これはぜひ訳してみたい本の1冊です。ちなみに著者のマクマナスは、すでに翻訳出版されている。「殺人カジノのポーカー世界選手権」 (文春文庫)という本も書いています。マクマナスはプロプレイヤーでも何でもなく、取材の為にWSOP2000に参加してメインイベントで5位になっているのです。WSOPやホースシュー(BINION'S HORSESHOE)を絡めたノンフィクションルポルタージュで、こちらのほうは日本語ですので是非、読んでみて下さい。 最後にポーカー教則本の古典。私自身のバイブルであるダン・ハリントンの“Harrington On Hold 'em”のシリーズやDavid Sklanskyの“The Theory of Poker”など、最新の理論ではないものの、ポーカーの本質をつくような教えが書かれた本は、ぜひ日本語で読めるようになって欲しい。ただ残念なことに、これらの古典本は、版権を取得して出版して、ビジネスとして成立させるには、日本のマーケットは十分に大きくないというのが、 現状のようです。でも、出せることが出来たらどれだけ嬉しいことでしょう。 私がポーカー関係の翻訳をお手伝いし始めた頃は、「ポーカーを語ったり、ポーカーの戦略を討議するための日本語」がまだ未成熟だったように思います。そんな中で、英語の本をどのような日本語にしていったら、 そうした言葉を元に、日本のプレイヤーの皆さんがポーカーを語り易くなるか、ということを常に心がけて、 翻訳を進めてきました。あるポーカー用語に対してどのような日本語を当てるか、あるいはそのままカタカナにするべきか、などは、そうした問題に対しての私なりの答えだと思っています。 例えばリード(lead)という単語は頻繁に使われたりします。 (ベットラウンドにて、最初のプレイヤーがベットすること) この単語は訳した方が良いか、カタカナで表記した方が良いのか悩んだり、 工夫を施した結果、今ではたくさんのポーカー用語を日本人に知ってもらえるようになったなあと、 ちょっと手前味噌ですが、感じています。日本語を読んで身に付けた知識を踏み台にして、さらに、英語の ポーカー研究サイトを見たり、原書にチャレンジしていただけたら、日本語のポーカー本出版に 関わっているものとしては、これ以上嬉しいことはありません。いきなり原書を読むことは 敷居が高いかも知れませんが、日本語の本を入口として、2+2(英語のポーカー掲示板)等、 海外のフォーラムを閲覧するのに役に立てればと願っておりますし、ステップアップして原書を読んで もらいたいと思っています。

 

 -- 最後に一言 --
読めば強くなる

 

インタビュー:カツマ(PokerJapan)







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